ボルゴ・デル・ディリオ 訪問 1/3
※livedoorブログの過去記事を、こちらに移しました。
フリウリのワインを巡る旅の中において、 ” Borgo del Tiglio ” を素通りすることは、『大罪』と呼ぶに等しい。
” Edi Keber(エディ・ケーベル) ” のセラーのある ” Zegla(ゼグラ) ” の丘から、車で、 ” Borgo del Tiglio (ボルゴ・デル・ティリオ) ” のある ” Brazzano(ブラッツァーノ) ” へと向かうこと15分。
雨と晴れ間が刻々と変る天候。
人通りの少ない幹線道路を通り、フリウリの銘醸地のひとつである、コルモンスの村中を横切る。
名門 ” Livio Felluga (リビオ・フェルーガ) ” のセラーを尻目に、 ” via San Giorgio(サン・ジョルジョ通り) ” に到着。
あたりは、丘に面する寂れた住宅地。
目立った建物と言えば、古びた教会があるだけ。
約束の時刻の14時に迫っていたが、昼ごはんの時間帯は、人通りが全く無く、道を聞く相手すら見つからない。
恐る恐る車で、草木が生い茂る細い農道にも入るが、当然、醸造所のような建物は発見出来ず。
「教会の中には、きっとだれかいるだろう」と思い、地図を片手に、教会の前でウロウロしていると、スタッフとともに昼食から帰ってきた ” Nicola Manferrari (ニコラ・マンフェラーリ) ” とばったり遭遇。
いや、これは判らない。 看板一つでていないんだもの。
まさか、こんなシャビーな建物の中で、あんなエレガントなワインを造っていたとは、夢にも思いませんでした。
アジェンダ・ボルゴ・デル・ディリオの中へ
緑色のペンキで塗られた、木製の扉。
中の広間は、雰囲気のあるテイスティング・カウンターとテーブルが置かれている。
その正面に見えるのは ” San Giorgio(サン・ジョルジョ) ” 丘の壁面を削って造られた、石積みのセラー。
セラーの上には、覆い被さるように、” Bressano (ブレッサーノ) ” 畑が広がっている。
生憎、雨脚が強くなり、畑の中を歩き廻ることは出来なかったが、中庭の右手より上っていく坂道から眺めると、トカイ・フリウラーノやマルヴァジーア等の白ワイン用の葡萄が植えてある様子が伺える。
この” Bressano (ブレッサーノ) ” 畑で、最高峰とも呼べるトカイ・フリウラーノ100%のワイン、 ” Ronco della Chiesa (ロンコ・デッラ・キエーザ) ” の葡萄が収穫される。
” Bressano (ブレッサーノ)” 畑は、飛地のようになっていて、 ” Rosso della Centa(ロッソ・デッラ・チェンタ) “のメルローは、ここから300m程離れた場所にある。
醸造設備の見学スタート
古い建物を改築している、ボルゴ・デル・ディリオのセラーは、醸造工程を古民家の各部屋ごとに分けているかのようだ。
まず、玄関から中庭に入り、直ぐの小部屋には、プレス機が置いてある。
上部の穴から、下に置いたプレス機へと葡萄が落とされる。
絞られた果汁は、施設内を走るパイプを通り、発酵タンクへと送られている。
ボルゴ・デル・ティリオのセラー
ここが、「ボルゴ・デル・ティリオの心臓部」といっても過言ではない場所。
先ほどの中庭から見えた、” Bressano (ブレッサーノ) ” 畑の直下にある、石積みの定温(低温)セラーの内部である。
入口と出口は、ガラス戸に仕切られ、外部からの空気出入りを制限しており、コンピューターによってセラー内部環境の温度・湿度を厳しく管理している。
奥の壁は、冷たく湿気を多く含んだポンカ層が剥き出しになっていた。
ポンカ層側の壁面には、砕けたポンカ層が重さで侵入してこないように、鉄索で補強されている。
また、セラーの内部はとてもヒンヤリとしていて、熟成途中のワインをたたえたバリックが、整然と並べられている。
ガラス板で区切られた場所の温度計を見ると、9度~10度で、白ワインをマロラクティック発酵させていた。
さらに、樽発酵 22日目~23日目という、2009年メルローを湛えたバリックを発見。
聴けば、2009年ヴィンテージは、大変素晴らしい出来映えだそうだ。(既に2008年の白ワインはボトリング済み。)
ボルゴ・デル・ティリオの新しい顔、「コントラーダ・テンナ」
ボルゴ・デル・ティリオは、現在マルケ州にも、7~8ヘクタールの畑をもっている。
その畑で収穫された葡萄を、遠く離れたフリウリにある自分のセラーへと運び、” Contrada Tenna (コントラーダ・テンナ) ” ブランドの名前でワインを醸造している。
- Nereus (ネレウス):モンテプルチアーノ100%
- Sangiovese (サンジョベーゼ):サンジョベーゼ100%
- Marche Rosso (マルケ・ロッソ):ネレウスのクラスに満たないモンテプルチアーノ。
” Nereus (ネレウス) ” と ” Sangiovese (サンジョベーゼ) ” は、上級クラス。
” Marche Rosso(ロッソ) “(モンテプルチアーノとサンジョベーゼからなるブレンドワイン )は、同セラーの人気白ワイン ” Milleuve (ミッレウーヴェ) ” と同じような、手ごろな価格帯のワインである。
(多分たまたま、だと思うが)僕が訪問したタイミングでは、リゼルヴァを中心とした「ボルゴ・デル・ティリオ」ブランドのワインがセラー内部に、「コントラーダ・テンナ」ブランドがセラー外部の冷暗な場所(通路や階段の横)に置かれてるとのことだった。
現在、” Contrada Tenna (コントラーダ・テンナ) ” への問い合わせは多く、連日セクレタリが電話対応に追われている。